古材再利用を考える
[背景]
平成14年5月に「建設リサイクル法(通称)」が施行されました。
木材・コンクリート・アスファルトの3品目は特定資材として定められ、分別・再資源化が義務づけられています。コンクリート・アスファルトの再資源化率は高く、再生骨材・路盤材とリサイクルも進んでいます。これに対し、建設発生木材の再資源化率は両者の足元にも及ばず進んでいません。現在のところ、木質系解体材はチップ化されそれぞれの方法で再利用されています。今後は、木材廃棄物の発生を抑えるとともに循環利用する技術とシステムの開発・普及が望まれます。また、注目されています古材を使う家づくりを取り入れると、解体による廃棄物の減量・希少な自然素材の再利用が廃棄物抑制に貢献することが出来ます。
[全国的な古材流通ネットワーク]
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平成7年、世界遺産に登録された白川郷・五箇山の合掌造りが、日本の民家の良さが再認識される状況のもと、
民家再生の啓発・再生リサイクルのための全国的なネットワークが設立されました。
・ 「日本民家再生リサイクル協会」( http://www.minka.gr.jp/
)
・ 古材の安定供給を目的に「古材ネットワーク」も構築されています。
・ 「古材ネットワーク指定業者」は全国で12社あります。
古材についてのご相談は、「古材ネットワーク指定業者」に直接お問合せください。
※ http://www.minka.gr.jp/
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[古材とは]
・古い民家を解体した際に出る建築資材のことです。
元の家で暮らしていた人がつけたキズや、炊事などで蓄積されたススに覆われたものなど
もありますが、これらのキズや汚れさえも、古材の場合は時を経た〃味わい〃となります。
「大黒柱だけは再利用したい」「あの大梁は気に入ってるので新しい家でも是非使いたい」
など、長年家を支えてくれた、家族の歴史を刻んだひときわ愛着を持たれる、これら構造材
の再利用の要望は多くみられます。
瓦の再利用として、壁面に利用するなど用途も拡大しています。
[解体古材ができるまで]
● まずは、業者選び。手解体が可能な業者としては、できれば、社寺・文化財建築を手がけているところ。
又は、木造在来工法で建築をしておられるところがお勧めです。
○ 建具・畳などの撤去をします。
○ 屋根・壁・床板などを手作業で解体撤去をします。
○ 手作業で骨組みを慎重に取り外します。
○ 再利用が出来そうな部材を選択して、次の作業を行います。
1. 長年のホコリ、ゴミ、ヨゴレを雑巾がけして落とします。
雑巾がけでおちないものは、水洗いの上ワイヤーブラシでこすったり、サンダーで
削ったりします。場合によっては薬品を使う事もあります。
2. 油引き・古色塗りによる仕上げをします。
・ 油引き・・・色づけせずに油を引くだけの仕上げ。使う油によって仕上がりが変わ
ります。(菜種油→つや消し 亜麻仁油→光沢)
・ 古色塗り・・・紅ガラ、墨、ニカワ、柿渋などを使って好みの色を出していきます。
ペンキの様に木の呼吸を妨げる様な塗料はなるべく使わない様にしましょう。
3. 埋木をして木についた傷や虫食いの穴などの補修をします。
○ ストックヤードに保管します。
[古材の再利用が抱える問題点]
・ 解体は機械解体の上、撤去・廃棄です。利用できる古材を見つけながら丁寧に解体する事は出来ません。
・ 解体した古材を解体業者が保有しておくストックヤードを所有していません。
・ 「古民家を解体するので古民家の材料を使った家を建てたい方、解体時に引取りに来て
頂けませんか」と言った問合せがありました。しかし、需要と供給のバランスが旨く逢わな
くては難しいですね。「欲しい方が現れなければ」再利用は不可能です。又、この場合の
解体費用は「古材料を欲しい方」が支払う訳ですから、近くの方でなければ、移築先まで
の輸送費も掛かります。再利用するには事前調査や解体は手壊し解体なので調査費や
解体費が通常よりたかくつきます。
・ 解体後新しく建物を建てると住宅金融公庫の融資の優遇措置があるように、古材を利用
の場合も認定(認証)を受ける事が出来たら、融資増額や期間延長が出来るなどの制度メリットがあれば良い。
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